Perl の Test2::V0 でオブジェクトの基底クラスを確認する2020年12月18日 00時37分

こんにちは、nanto_vi です。この記事は Perl Advent Calendar の 18 日目です。


近年、Perl でテストの記述によく使われているモジュールが Test2::V0 です。Test2::V0 について詳しくは「第51回 Test2で変わるモダンなテスト―拡張性を持ったテスティングフレームワークとTest2::V0の使い方(1):Perl Hackers Hub|gihyo.jp … 技術評論社」を参照してください。

Test2::V0 を使い、あるオブジェクトがあるクラスのインスタンスであることを確かめたいときはどうすればよいでしょうか? 例えば、オブジェクトが URI クラスのインスタンスであることを確かめようとして、次のように書くと……

# Bad
use Test2::V0;
use URI;

my $uri = URI->new('https://www.example.com/');
is $uri, object {
    prop blessed => 'URI';
};

このテストは失敗します! prop blessed の値 (Scalar::Util::blessed($uri) の返り値) は URI::https であり、URI ではないからです。(URI::https クラスは URI クラスを継承しています。)

Test2::V0 0.000138 までは、次のように書く必要がありました。

# Good
is $uri, object {
    call [ isa => 'URI' ] => T;
};

$uri->isa('URI') の返り値が真ならよいというわけです。でもパッと見ただけでは何をやっているのかわかりづらいですよね。

Test2::V0 0.000139 (日本時間で 2020 年 12 月 16 日、つまりこれを書いている 2 日前のリリースです) では、次のように書けるようになりました!

# Good
is $uri, object {
    prop isa => 'URI';
};

prop isa を使うことで、オブジェクトの基底クラスの確認をわかりやすく書けます。また、check_isa 関数も追加されました。

これらの機能は Introduce object inehritance chekcs by nanto · Pull Request #230 · Test-More/Test2-Suite で導入されました。変更をレビューし取り込んでくださった Chad Granum 氏に感謝します。

Perl の wantarray 関数で返り値の扱いを確認する2020年12月22日 22時28分

こんにちは、nanto_vi です。この記事は Perl Advent Calendar の 22 日目です。


Perl の特徴のひとつに関数が多値を返せるというのがあります。Go 言語と同様に、処理の結果とエラーの値を同時に返すことができます。

sub do_something {
    ...

    return (undef, $error) if $something_wrong;

    return ($result, undef);
}

my ($result, $error) = do_something();

上述の do_something 関数はリストを返し、その第 1 要素に処理結果を、第 2 要素にエラーの値を含んでいます。ところが、ここでうっかり、

my $result = do_something();

とリストを使わずに返り値を受け取ってしまうと、変数 $result にエラーの値が代入されてしまいます。(リストをスカラコンテキストで評価した場合、そのリストの末尾要素が返ります。)

このような事態を防ぐために、wantarray 関数を使って呼び出し側がリストコンテキストで返り値を受け取っているか確かめられます。

use Carp qw(croak);

sub do_something {
    croak 'Must handle error' unless wantarray;

    ...

    return (undef, $error) if $something_wrong;

    return ($result, undef);
}

my $result = do_something();
# => 'Must handle error' 例外が投げられる。

ここでエラーの値だけを受け取りたいときは、次のようにリストの要素として undef を書けます。

my (undef, $error) = do_something();

空リストに代入することで、返り値をすべて無視することもできます。

() = do_something();

また、defined 関数と組み合わせて呼び出し側が返り値を受け取っているか確かめられます。

sub do_another_thing {
    croak 'Must handle error' unless defined wantarray;

    return $error if $something_wrong;

    return undef;
}

do_another_thing();
# => 'Must handle error' 例外が投げられる。

my $error = do_another_thing();
# => 例外が投げられず、エラーの値が返る。

この場合、返り値を無視するには scalar 関数が使えます。

scalar do_another_thing();